はじめに|小学生のジュニアテニスが上達しないと悩む親へ
「自分もテニスをやってきたからこそ、我が子の不器用さが許せない」
「コーチの言っていることは正しい。なのに、なぜうちの子はできないのか」
小学生の子どもをジュニアテニススクールに通わせている、テニス経験者の親にとって、コートサイドでの時間はときに修行のように感じられます。私もその内の一人です。週2回のレッスン、決して安くはない月謝、送り迎えの負担。そして何より、「自分が大好きだったテニスを、子どもにも楽しんでほしい」という純粋な想い。
それにもかかわらず、ラリーは続かない、試合ではミスばかり、半年経っても目に見える成長が感じられない。そんな状況が続くと、「この子は向いていないのでは」「やる気がないのでは」と、不安や焦りが頭をもたげます。
しかし実は、子どもが上達しない原因の多くは、才能や努力不足ではありません。 特にテニス経験のある親だからこそ、無意識のうちに子どもの成長を妨げてしまっているケースが少なくないのです。
この記事では、
・小学生のジュニアテニスでよくある「停滞期(プラトー)」の正体
・経験者の親が陥りやすい関わり方の落とし穴
・週2回でも伸びる子になるための、親の正しい見守り方
を中心に、「テニス 子供 上達しない」「ジュニアテニス 停滞期」で悩む親御さんに向けて、具体的かつ現実的な処方箋をお伝えします。
テニス経験者の親が陥る「知っているからこその罠」
ミスの原因が分かることが、子どもの上達を止める理由
テニス経験がある親は、子どものミスを見た瞬間に原因がわかってしまいます。
・打点が後ろ
・膝が伸びている
・テイクバックが遅い
・ポジションが悪い など・・・
こうした指摘は、技術的には正しいことがほとんどです。しかし問題は、それを子どもが今、処理できる段階にあるかどうかです。
小学生、とくに低〜中学年の子どもは、
「言われたことを理解する力」
「自分の身体を思い通りに動かす力」
が、まだ十分に結びついていません。
正解を一気に与えられると、子どもの頭の中はこうなります。
「言われた通りにやりたい → でも身体が動かない → また怒られる → テニスが怖い」
これが、上達を止める一番の近道です。
親の視線と態度が小学生のテニス集中力を奪う
親は何も言っていないつもりでも、
・ため息
・首をかしげる仕草
・厳しい表情
こうした非言語のメッセージは、子どもに確実に伝わっています。コートの外で見守っているというかプレシャーをかけているみたいですよね。
レッスン中、ミスした直後に子どもがチラッと親の方を見ることはありませんか?
それは「テニスをしている」のではなく、「親の評価を確認している」状態です。
この瞬間、子どもの集中力は完全に切れています。
ジュニアテニスのレッスンは見守る?見ない?正しい親の距離感
経験者の親から最も多い質問が、
「レッスン中は見た方がいいのか、それとも見ない方がいいのか」
というものです。
結論から言うと、基本は「見ない」、もしくは「見ている気配を消す」が正解です。
レッスンを見すぎると小学生が上達しない3つの理由
子どもにとって、テニス経験者の親は
世界で一番厳しい審判です。
・コーチの指示より、親の表情が気になる
・ミス=怒られる、が刷り込まれる
・挑戦よりも「無難なプレー」を選ぶ
テニスは本来、ミスをしながら覚えるスポーツです。
しかし親の視線が強いと、子どもはミスを極端に恐れるようになり、成長に必要なチャレンジをしなくなります。
どうしても見たい親向け|失敗しない見守りルール
どうしても気になる場合は、次のルールを自分に課してください。
・スマホや本を見ながら、たまに顔を上げる
・コートサイドから物理的に距離を取る
・ミスには完全に無反応を貫く
・良いプレーのときだけ、小さくうなずく
もし「見ているとイライラしてしまう」タイプなら、
あえてその場を離れることが、最高のサポートになります。コンビニなどで時間を潰すのもいいかもしれませんね。
週2回通ってもテニスが上達しない4つの本当の理由
「週2回も通っているのに、なぜうちの子は上達しないのか」──これはジュニアテニスをしている小学生の親から、最も多く聞く悩みです。しかし実際には、週2回という頻度そのものが問題なのではありません。多くの場合、成長を妨げている原因は別のところにあります。ここでは、親が知っておくべき4つの本当の理由を整理します。
理由① 練習頻度ではなく「密度」が足りていない
週2回のレッスン自体は、決して少なすぎるわけではありません。問題は、そのレッスンとレッスンの間にある「何もしない時間」です。
人は48〜72時間で、新しく覚えた動きや感覚を驚くほど忘れてしまいます。これは大人でも同じで、小学生であればなおさらです。せっかくレッスンで「今日は当たっていた」「コツが少し分かった」という感覚を得ても、次のレッスンまで完全に放置してしまえば、振り出しに戻るのは当然と言えます。
ここで重要なのは、長時間の自主練習ではありません。10分でも5分でも構いません。ラケットを握る、ボールを見る、スイングするという思い出す時間”を挟むことが、上達のスピードを大きく左右します。
経験者の親であれば、球出しをしてあげるだけでも十分です。技術的なアドバイスは不要で、「当てる感覚を忘れさせない」ことを目的にしてください。密度を少し上げるだけで、週2回のレッスンの価値は何倍にもなります。
トップスピンプロを使って、自宅でスピンの練習するのもいいですね。我が家は購入し、レッスンが無い日の感覚を忘れないために使っています。下記記事を参考にしてみて下さい。↓

理由② ジュニアテニス特有の停滞期(プラトー)
ジュニアテニスには、必ず「急に伸びる時期」と「全く伸びない時期」が訪れます。この伸びない期間こそが、いわゆる停滞期(プラトー)です。
停滞期は、決して悪い状態ではありません。むしろ、脳が新しい動きを整理し、次の成長に備えている重要な準備期間です。しかし、目に見える結果が出ないため、親は不安になりやすく、「練習量が足りないのでは」「やり方が悪いのでは」と焦ってしまいます。
この時期にやってしまいがちなのが、
・新しいフォームを次々と教える
・別のスクールや練習法を探し始める
・結果を急かす声掛けをする
といった行動です。これらは一見、前向きなサポートに見えますが、停滞期の子どもにとっては混乱の原因になります。
親にできる最善の対応は、「今はそういう時期だ」と理解し、過度に手を加えないことです。停滞期は、抜けた瞬間に驚くほど伸びることが多く、その“化ける瞬間”を信じて待てるかどうかが、大きな分かれ道になります。
理由③ 小学生の成長期で一時的に下手になる
小学生は、短期間で身長が伸び、手足の長さや身体のバランスが大きく変わります。その結果、昨日まで問題なく打てていたボールが、急に当たらなくなることがあります。
これは「下手になった」のではありません。身体が変わったことで、これまでの感覚が通用しなくなっただけです。
特に成長期の子どもは、
・打点が合わない
・タイミングが遅れる
・スイングが窮屈に見える
といった状態になりやすく、親から見ると「練習していないのでは」と感じてしまいます。しかし、この時期にフォームを細かく修正しすぎると、かえって混乱を招きます。
大切なのは、「今は身体に慣れる時期」と割り切ることです。結果よりも、楽しそうに打てているか、無理のない動きができているかを基準に見守ってください。
理由④ 技術以前に見落とされがちな原因
テニスが上達しない原因は、必ずしも技術だけとは限りません。実は、多くの親が見落としがちな要素があります。
・視力:ボールがぼやけて見えていない
・体幹:姿勢が安定せず、毎回スイングが崩れる
・リズム感:タイミングを取るのが苦手
これらは、いくらフォームを教えても改善しません。たとえば視力が合っていなければ、ボールとの距離感はいつまで経っても安定しません。
「真面目に通っているのに、なぜか上達しない」と感じたら、一度テニス以外の視点から子どもを見てみることも大切です。
テニス経験者の親だからこそできる正しいサポート
「教えることを我慢するなんて無理だ」と感じるかもしれません。しかし、経験者の親にしかできないサポートは、技術指導以外にも数多くあります。
教えない勇気|ヒッティングパートナーに徹する
家庭練習で親ができる最良の役割は、コーチになることではありません。子どもが安心して打てる“壁”になることです。
安定したボールを出し続けるだけで、子どもは自然と打つ回数を増やせます。アドバイスを封印することで、子どもは自分で考え、試す余裕を持てるようになります。
もし「今のどうだった?」と聞かれたら、「コーチは何て言ってた?」と返してみてください。主役を子どもとコーチに戻すことが、長期的な上達につながります。
プロテニス観戦でモチベーションを育てる
親が技術を教えなくても、子どもが勝手に学ぶ方法があります。それが、プロテニスの試合や動画を一緒に見ることです。
このとき大切なのは、解説をしないことです。「今のフォアは肘が…」ではなく、「今のプレー、すごかったね」「かっこいいね」と感情を共有してください。
憧れは、最強の原動力です。子どもが「自分もああなりたい」と思った瞬間から、練習への向き合い方は変わります。
ラケット・ガットなどテニス環境を整える重要性
ラケットが重すぎる、グリップが太い、ガットが伸びきっている──それだけで、子どもは必要以上に苦しむことになります。
成長期の小学生にとって、道具が合っていないことは大きなストレスです。子どもが無理なく振れるラケット、適切なテンションのガットを用意することは、親にしかできない重要なサポートです。

|結論|小学生ジュニアテニスは親の「待つ力」で伸びる
ジュニアテニスは、短距離走ではなく長いマラソンです。経験者の親ほど近道を知っているからこそ、つい急がせてしまいます。
しかし、子どもには子どもなりのペースがあります。今日から少しだけ、コートサイドから距離を取ってみてください。
あなたが「教える親」から「信じて待つ親」に変わったとき、子どもは初めて、自分の力でテニスと向き合い始めます。それこそが、停滞期を抜ける最大のきっかけになるのです。

