ジュニアテニス親子練習でアドバイスしすぎない方がいい理由

「もっと前で捕らえなきゃ!」 「今のは足が止まってたよ」 「だから言ったじゃない、引きが遅いって……」

テニス経験がある親ほど、コートサイドでつい口を出してしまう。そんな瞬間はありませんか? 私自身、テニスをかじってきた人間として、我が子のプレーを見ると「正解」が手に取るように分かってしまいます。

しかし、良かれと思って伝えたアドバイスが、皮肉にも子供の成長にブレーキをかけていたことに気づかされました。

今回は、経験者の親こそ陥りやすい「教えすぎの弊害」と、私が行き着いた「伸びる距離感」について深掘りします。


目次

なぜ経験者の親は「言いすぎて」しまうのか?

根本にあるのは、決して「怒り」ではありません。むしろ「深い愛情と期待」です。

「正解」が見えすぎてしまう 経験者は、フォームの乱れや打点のズレをスローモーションのように察知します。「あと少し前で打てば入るのに」という答えが見えているからこそ、黙っているのが苦痛になるのです。
最短距離で上手くなってほしい 自分が苦労した経験があるからこそ、子供には遠回りをしてほしくない。試合で負けて泣く姿を見たくない。その「親心」が、アドバイスの弾丸となって飛んでいきます。
「役に立ちたい」という自己充足 せっかくの自分のスキルを子供に継承したい。そんな無意識の欲求が、いつの間にか「指導」という形にすり替わってしまうのです。

大きなくくりで見ると子どもに上手くなってもらいたいという気持ちが強く、何でもかんでもすぐにアドバイスをすればいいと思っている方も多くいるのではと思います。

私もそのうちの一人だったのですが、それでは子供の成長にはつながりません。なぜ、アドバイスのしすぎが子供の成長を止めてしまうのかを解説いたします。


アドバイスが牙を向く。「過剰指導」の3つの弊害

実は、親の言葉が多ければ多いほど、子供のパフォーマンスは低下していきます。

① 「思考の停止」と「依存」

「次はこう動いて」「次はあそこに打って」。親の指示通りに動くことに慣れた子供は、自分で状況を判断しなくなります。 しかし、試合中のコートに親はいません。 隣に誰もいない孤独な戦場で、自分で修正する力を奪ってしまうのは、実は最も残酷なことかもしれません。

みなさんのお子さんはプレー中にミスをしたときに親御さんの顔を見る子はいますか?ミスをしたあと、すぐ親のアドバイスがある家庭は、よく親の顔を見て確認するのではないのでしょうか。

そのままでは自分で考えてプレーすることができない為、成長はしません。我が家も同じようにしていた為、親から言われるのを待っており、自分で考えることをしません。

② 「過剰意識」によるフリーズ

スポーツ心理学では、動作を細かく意識しすぎることで、本来スムーズに動くはずの筋肉が固まる現象を「過剰意識」と呼びます。 「肘を上げて、膝を曲げて、体は開かない……」 頭がパンパンになった子供の動きはぎこちなくなり、さらなるミスを誘発します。

その上、親の目線があると子供にはとてもプレッシャーになりますよね。親から言われたことをやろうとすると、余計に力が入りスムーズな動きができなくなってしまうのではないでしょうか。

③ 「テニス=評価される場」への変貌

一番の悲劇は、テニスが「楽しい遊び」から「親にチェックされる試験」に変わってしまうことです。 親の顔色を伺いながら打つボールに、威力は宿りません。練習が苦痛になれば、どんなに才能があっても「燃え尽き」へのカウントダウンが始まってしまいます。

自分で考え、自分で感覚を掴み、自分が思ったようにプレーする。これはテニス以外のスポーツもそうかもしれませんが、上達への近道であると思います。

親から毎回チェックされていては、試験を常にやっているような感覚で楽しくないですよね。


実践して分かった「教えない勇気」3つのルール

私が自身の反省から作り上げ、実際に効果を感じている「親のスタンス」をご紹介します。

ルール1:修正ポイントは「1日1つ」に絞り込む

あれもこれも言いたくなる気持ちをグッと堪え、その日のテーマを一つだけに絞ります。「今日は打点だけ見ているよ」と宣言するのです。 ターゲットが明確になると、子供は集中しやすくなり、小さな成功体験を積み重ねることができます。

我が家で取り入れているのは、スクールが始まる前や親子練習の前など、今日のポイントとして何に気をつけて練習するかの確認を行います。

その後は、ほとんどアドバイスはしないように言いたい気持ちを抑えています。

ルール2:「教える」を「問いかけ」に変える

「打点が後ろだよ!」と言う代わりに、「今の、自分の中ではどう感じた?」と聞いてみます。 子供が「ちょっと詰まった気がする」と答えたら、それが大正解。自分で気づくプロセスこそが、本番で使える生きた技術になります。

自分でミスした原因に気づくことにより、次にどうすればいいかも自分で考えて、そのように行動していくことになります。

結果、自分の物となって体が覚えていき、同じミスが減っていきます。

毎回、親がミスの原因を伝えていたら、いつまでたっても同じミスをしてしまうのではないでしょうか。

ルール3:「技術」ではなく「姿勢」のチアリーダーになる

フォームの良し悪しはコーチに任せましょう。親は、

・最後までボールを追いかけたか
・ミスしても切り替えて構えられたか
・自分から大きな声を出せたか

以上のような「心構え」の部分だけを全力で承認します。ここを褒められると、子供は安心して「挑戦」ができるようになります。

我が家も子供のプレーを見ていると、以前は返せなかった球や遠いところのボールを返球できるようになってきたことなどを褒めるようにしたりしています。


親の役割は「コーチ」ではなく「ホーム」

ジュニアテニスにおいて、技術を教えるプロはスクールにいます。 親が果たすべき本当の役割は、技術の向上ではなく、「どんな結果であっても、ここは安全な場所だ」という安心感を与えることです。

アドバイスを8割減らし、笑顔と頷きを8割増やしてみてください。 不思議なことに、親が静かになった方が、子供は自分で考えて動き出し、伸び伸びとしたボールを打ち始めます。

私も以前はたくさんアドバイスをすれば上手くなるものだと勝手に思っていました。

でも、それは子供の考えることを止めてしまい、さらには成長へのブレーキをかけていることなのだと実感しました。

アドバイスを減らしていくと、ここ最近は上手くなるスピードが早くなったように感じています。まだまだ、改善するところはありますが、それでも言わずに我慢しています。

いろんなことを一度に言っても子供の理解は追いつかないだろうし、言われたことをすぐに体現するなんてことはもっと難しいですからね。

まとめ|「信じて待つ」という究極のサポート

親子練習で最も大切なのは、綺麗なフォームを作ることではなく、「また明日もテニスがしたい」と思わせて練習を終えること

アドバイスを減らすのは、手を抜くことではありません。子供の自立と成長を信じて「待つ」という、非常にエネルギーの要る高度なサポートです。

もし今日、言いすぎてしまったと反省しているなら、それはあなたが誰よりもお子さんの上達を願っている証拠。明日の練習では、一言飲み込んで、静かに見守る時間を少しだけ増やしてみませんか?

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