はじめに:コートに落ちた涙の正体
1/7のテニスコート。久しぶりに親子でゲーム形式の練習をしていた時のことです。 最初は笑顔でボールを追いかけていた息子でしたが、試合が進むにつれて雲行きが怪しくなっていきました。
「あぁ、またネットだ…」 「なんでサーブが入らないの!」
ミスが重なり、最終的にスコアを離されて負けた瞬間、息子の目から大粒の涙がこぼれ落ちました。ラケットを握りしめ、震える肩。親としては「たかが練習じゃないか」と声をかけたくなる気持ちをグッとこらえ、その涙の理由を静かに見つめることにしました。
テニスという過酷なスポーツを通じて、子供が直面する「悔しさ」。その涙の先には、一体何があるか一緒に考えてみましょう。今日は、親子で向き合った「練習の質」と「心の成長」について綴りたいと思います。私が考える、上手くなるにはとても大切なことをみなさんにお伝えし、共有したいと思います。
なぜ、息子は泣いたのか?
子供がスポーツで泣く理由は、単に「負けたから」だけではありません。以下の三つの理由が挙げられます。
・自分への期待と現実のギャップ: 「もっとできるはずだ」という理想に対し、体が動かない、ショットが入らない現実。
・積み重ねてきた努力の否定: 自分なりに頑張ってきたつもりなのに、結果が出ないことへの絶望感。
・親に見せたい自分: 「良いプレーをして褒められたい」という純粋な承認欲求。
息子にとっての涙は、それだけ本気で向き合っていた証拠でもあります。今まで練習してきたから、前にやったゲーム練習よりポイントやゲームが取れるのではないかとの期待もあったはずです。
その為、もっと出来るはずだと現実とのギャップが本人は強く感じたそうです。まずはその「本気さ」を認めてあげることからスタートしました。
悔しさを消す唯一の処方箋は「練習」しかない
コートにしゃがみこんで泣く息子に、私はこう伝えました。 「悔しいと思う気持ちは大事なことだよ。でも、泣いているだけでは次の試合には勝てないんだよ」
感情を整理した後に残るのは、冷徹なまでの事実です。 「入らなかったショットは、練習で打てるようにするしかない」 スポーツの世界において、メンタルを救うのは最終的には「技術的な裏付け」と「練習量」です。
負けを「感情」で終わらせない
多くのジュニア選手が、負けて泣いて、その日はスッキリして終わり…というサイクルを繰り返してしまいます。しかし、悔しさをエネルギーに変換できる子は、その日のうちに「なぜ負けたのか」を分析し、ラケットを振り始めます。
常に考えながらテニスを行うことにより、同じ練習時間、同じ球の数だけ打っても上達スピードには差が出てきます。スクールで週1、2回しか行けない子供たちが週4、5とスクールや自主練習している子供に勝つには、何も考えずにただ打っているだけでは絶対追いつけません。
「なぜ今のショットがアウトになったのか?」「なぜサーブが左に切れてフォルトになったのか?」自分がミスしたショットに対して考え、トライ&エラーを繰り返すことが必要になってきます。
つまり、大切になるのは「練習の質」になります。
3. 「適当な100球」より「考え抜いた1球」を
ここで一つ、息子に厳しく伝えたことがあります。それは「練習の質」についてです。
「毎日練習しているのに上手くならない」と嘆く子供の多くは、実は「こなすだけの練習」に陥っています。
・なんとなくラケットを振っている。
・ボールがどこに飛んでも、あまり気にしていない。
・ミスをしても「次は入るだろう」と根拠なく考えている。
このような「適当な練習」をいくら積み上げても、試合のプレッシャーの中では通用しません。試合でのプレッシャーというのは相当ストレスがかかるものです。
コートでは一人です。誰も助けてくれません。自分自身で打ち勝つしかありません。練習から1球1球真剣に打つことにより、プレッシャーのかかる場面でも練習通りにできるように近づいていきます。子供にはこのことを強く伝えました。
1球1球に意図を持たせる
息子に教えたのは、打つ前に必ず「意図」を持つことです。
・「このサーブは、相手のバック側にこれくらいのスピードで入れる」
・「このフォアハンドは、ネットの上をこれくらいの高さで通す」
たとえミスをしても、意図があれば「なぜミスをしたのか」の理由が見えてきます。「狙いが低すぎたのか」「振り遅れたのか」。理由がわかれば、それはもはや失敗ではなく、改善のためのデータになります。
練習でそのミスに対して修正していくプロセスが大切となってきます。
例えば「フォアハンドのショットがアウトになった」とあるとします。本人は「面が上をむいていたことがアウトにつながった」と理解する。→「次はアウトしないように面がまっすぐ当たるように意識しよう」と自分自身で考えて修正していくことが早く身につく方法です。
4. 練習で自分を「追い込む」ということ
親子練習はどうしても甘えが出がちです。しかし、試合で涙を流さないためには、練習で自分を苦しめておく必要があります。
・ターゲット練習: コーンを置いて、当たるまで終わらない。
・セカンドサーブの重圧: 「これを外したら最初からやり直し」という緊張感を作る。
「練習は本番のように、本番は練習のように」という言葉がありますが、ジュニア世代こそ、この意識の差が数ヶ月後の戦績に劇的な違いをもたらします。
我が家ではサーブの確立が課題であり、練習の時から例えば20球中10球は入れないとコート外周を入るというペナルティを課します。そうすると、本人もプレッシャーの中でサーブを打つことになるので、本番に近い形で練習することができます。
5. 涙の先にある「自信」という報酬
真剣に、考えながら練習を積み重ねた先に待っているのは、勝利だけではありません。それは、「自分はこれだけやったんだ」という揺るぎない自信です。
息子が次にコートに立った時、もしまたミスをしても、今度は泣かないかもしれません。なぜなら、そのミスをどう修正すればいいか、練習を通じて知っているからです。
そして、自分自身で考えて練習に取り組んだショット、フォームであったりするものは身体でしっかりと記憶していくものですので、本番にも自然とできるようになります。
親としての役割
私たち親ができるのは、代わりにボールを打ってあげることではありません。
・子供が考えながら練習できているか、問いかけを行う。
・「今のショット、何を狙ったの?」と意識を言語化させる。
・質の高い練習ができたプロセスを、結果以上に褒める。
いかに子供が主体的にテニスに対して取り組むことができるようにサポートをしてあげることです。親に言われてやらされてるのと自分から進んで取り組んでいるのでは、同じ時間プレーするにしても得るものが違います。
おわりに:あの日の涙を忘れない
息子が流した涙は、地面に吸い込まれて消えてしまいました。しかし、その時感じた「熱い悔しさ」は、彼の心の中に闘志を燃やしたはずです。
「悔しいなら、練習するしかない。強くなるために練習するんだよ。でも、ただやるんじゃない。強いの自分を想像して、1球を大切にしようね」
そう話した後の息子の目は、少しだけ成長した感じに見えました。 ジュニアテニスの道は長く、これからも何度も壁にぶつかるでしょう。その度に、今日の涙を思い出し、それを「質の高い練習」へと変えていってほしいと願っています。
またコートに立ち練習しよう。強くなりたいその気持ちを大切にして、親として見守りたいと思います。
