ジュニアテニススクールは週1で足りる?週2に増やす判断基準

「もっと上手くなってほしいけど、週2回に増やす価値はあるの?」 「月謝が倍になる分、上達も倍になるの?」

ジュニアテニススクールに通わせている親御さんなら、一度は直面する悩みです。特にテニス未経験のパパ・ママからすれば、コートの中で何が起きているのか、週1と週2で何が決定的に変わるのかは見えにくいもの。

結論から申し上げます。 ただ「なんとなく週2回」に増やすだけでは、費用対効果は最悪になります。

しかし、テニスの特性を理解し、戦略的に回数を増やせば、上達スピードは「2倍」ではなく「3倍、4倍」に跳ね上がります。

今回は、ジュニアテニスの現場のリアル、脳科学的な視点、そして家計への影響までを徹底的に分析し、「あなたの子供にとって今、本当に週2回が必要なのか」を判断するための究極のガイドをお届けします。


目次

脳と体が忘れる前に打つ!「忘却曲線」から見る週2回の圧倒的優位性

テニス未経験の親御さんにとって、「週1回と週2回の差」は単に練習時間が2倍になるだけだと思われがちです。しかし、スポーツ科学や脳科学の視点から見ると、その差は「2倍」どころか「3倍以上の開き」となって表れます。

その鍵を握るのが、心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」の理論です。

「週1回」は、リセットとの戦い

週1回レッスンの場合、次の練習までには「168時間(7日間)」という長い空白期間があります。

人間の脳、特に運動を司る小脳は、新しい動きを学んでも反復がなければすぐに忘れてしまいます。週1回のジュニア選手に何が起きているかというと、レッスンの最初の15〜20分間は、前回の感覚を思い出すための「リハビリ」に費やされているのです。

最初の20分: 「どうやって振ってたっけ?」と脳が前回の記憶を探り、ようやく体が温まる
中盤の20分: 前回のレベルにやっと追いつき、少しだけ新しい感覚を掴む
最後の20分: 絶好調!となったところで、無情にもレッスン終了のタイマーが鳴る

つまり、週1回では「上達の階段」を登っているのではなく、「登っては滑り落ち、また登り直す」という、非常に効率の悪いループに陥りやすいのです。

「週2回」は、記憶の「上書き保存」

一方で、週2回コース(例えば火曜と金曜)に通う場合、空白期間は「72時間〜96時間」にまで短縮されます。

この「3〜4日」という間隔が、ジュニアの成長には劇的な効果をもたらします。脳が前回の感覚を鮮明に覚えているうちに次の刺激が入るため、リハビリの必要がほとんどありません。

レッスンの開始直後から: 前回の「できた!」という感覚の続きからスタートできる
レッスンの全時間: 常に「新しいスキルの習得」や「苦手の克服」に集中できる
精神的余裕: 期間が空かないことで「テニス脳」が常にオンの状態になり、集中力も高まる

結論:週2回は「上達の複利」が効く

投資の世界に「複利」があるように、テニスの週2回練習には「上達の複利」が働きます。

前回の成果を100%土台にして次を積み上げられるため、1年後の到達点は、週1回の子を遥か後方に置き去りにするほど大きなものになります。もしお子さんが「試合で勝ちたい」「もっと上手くなりたい」と口にしているなら、脳科学的に見ても、週2回への増設は非常に理にかなった選択と言えるでしょう。

もちろん、家計や他の習い事との兼ね合いもあります。しかし、この「忘却のメカニズム」を理解しているかどうかで、親御さんのサポートの質は大きく変わるはずです。

費用対効果(ROI)をシビアに検証する

テニス未経験の親御さんにとって、週1回から週2回への変更に伴う「月謝の倍増」は、家計に直結する大きな問題です。しかし、教育やスポーツへの投資として考えた場合、単に「支払う金額」ではなく、「支払った金額に対してどれだけのリターン(上達・経験)があるか」という費用対効果(ROI)の視点を持つことが重要です。

ここでは、親の主観ではなく、シビアな数値と効率の面から週2回の価値を解剖します。

1打あたりのコストは、週2回の方が圧倒的に「安い」

まず、多くの親御さんが驚かれるのが、テニススクールのレッスンにおける「実質的な打球時間」の短さです。 一般的なジュニアのグループレッスン(60分)の流れを分解してみましょう。

準備運動・挨拶・説明: 約10分
球拾い・休憩: 約15分
順番待ちの時間: 約20分
実際にボールを打っている時間: 約15分

週1回コースの場合、月に4回通っても、実際に打っている時間は合計で「たったの1時間」程度しかありません。これに対し、週2回に増やすと打球時間は月2時間以上に増えます。 ここで注目すべきは、「上達に必要な基礎体力がつくまでの期間」です。テニスは一定の打球数をこなさないとラリーが繋がらず、ラリーが繋がらないと「テニスの楽しさ(ゲーム性)」を味わえません。 週2回通うことで、この「楽しくなるまでの停滞期」を一気に突き抜けることができます。結果として、「高い月謝を払っているのに、いつまでもラリーすらできない」という停滞リスクを回避できるため、1打あたりのコストパフォーマンスは週2回の方が高くなるのです。

成長の「旬」を逃さない投資戦略

ジュニア期、特に「ゴールデンエイジ」と呼ばれる神経系が著しく発達する時期は、一生に一度しかありません。

  • 週1回で5年かけて到達するレベル: 5年分の月謝 = 約48万円(月8,000円計算)
  • 週2回で2年で到達するレベル: 2年分の月謝 = 約36万円(月15,000円計算)

仮に、週2回集中して通うことで、週1回の子が5年かかるレベルに2年で到達できるとしたらどうでしょうか。トータルの支払額を比較すると、「短期間で回数を増やした方が「12万円も安く、同じ目標を達成できる」という逆転現象が起こります。 また、早く上達すれば、それだけ早く「外部の試合」に出場でき、より高度な経験値を得るステージに進めます。この「時間の短縮」こそが、週2回コースが持つ最大の経済的メリットです。

結論:週2回は「浪費」ではなく「時短」のための投資

テニス未経験の親御さんから見れば、週2回は贅沢に感じるかもしれません。しかし、「中だるみの5年」よりも「濃密な2年」を選ぶことは、結果として子供のモチベーションを維持し、家計の総支出を抑える戦略的な選択となります。 もし予算が許すなら、だらだらと長く通わせるよりも、子供のやる気が高まっている時期に「投資を集中させる」こと。これが、ジュニアテニスにおける最も賢い費用対効果の考え方です。


未経験の親が見落とす「週2回」の隠れたメリット


テニス未経験の親御さんが「週2回に増やすかどうか」を検討する際、どうしても「ボールを打つ時間」や「月謝の金額」といった目に見える数字だけで判断してしまいがちです。しかし、実は数字に表れない「環境の変化」こそが、子供の成長に最も大きな影響を与えることがあります。

熱心な親御さんだからこそ知っておきたい、週2回コースがもたらす「技術以外の3つの恩恵」を詳しく解説します。

① 「テニス仲間」の質が変わり、基準が引き上がる

週1回コースの多くは、テニスを「習い事の一つ」として楽しむ層が中心です。一方で、週2回以上通うクラスには、当然ながら「もっと上手くなりたい」「試合に出たい」という意欲の高い子供たちが集まります。 子供は周囲の環境に強く影響されます。

当たり前の基準が変わる: 周りが一生懸命に練習し、試合の結果に一喜一憂する環境に身を置くことで、「自分ももっと練習しなきゃ」という自立心が自然と芽生えます。
ライバルの存在: 「あの子に勝ちたい」という具体的な目標ができることは、どんなコーチの指導よりも子供を成長させるガソリンになります。 テニスは個人競技ですが、高め合える「集団」の中にいることは、継続するための大きなモチベーションになります。

② コーチとの信頼関係と「個別性」の向上

週2回顔を合わせることで、コーチとのコミュニケーション密度は圧倒的に濃くなります。 コーチも人間です。週に1回、大勢の中の1人として接する生徒よりも、週に2回通い、熱心に練習に取り組む生徒に対しては、その子の「癖」や「性格」、「成長の微かな変化」に気づきやすくなります。 「この子はバックハンドが苦手だから、今日は多めに球を出してあげよう」「今日は少し元気がないな」といった、その子に合わせたパーソナルな配慮を受けやすくなるのは、週2回通う隠れた特権と言えるでしょう。

③ 自己肯定感(アイデンティティ)の確立

ジュニア期において、「自分は何が得意な人間なのか」という自己認識は、人格形成に深く関わります。 週1回の習い事レベルでは「テニスもやっている子」ですが、週2回しっかり取り組むことで、子供自身の心の中に「自分はテニスプレーヤーだ」という強い自覚(アイデンティティ)が生まれます。 この自覚があると、学校でのトラブルや他のことで落ち込んだ時でも、「自分にはテニスがある」という心の支えになります。一つのことに深く打ち込む経験は、テニスという枠を超えて、困難に立ち向かう「やり抜く力(非認知能力)」を育んでくれるのです。

結論:週2回は「本気になれる場所」への入場料

テニス未経験の親御さんからすれば、「そこまで本格的にさせなくても…」と感じるかもしれません。しかし、子供が何かに熱中し、切磋琢磨する環境を与えてあげることは、単なる技術習得以上の価値があります。 週2回に増やすということは、単に練習時間を増やすことではなく、「子供が本気になれるコミュニティ」への参加権を買うことだと考えてみてください。その環境の変化が、数年後、お子さんの顔つきを劇的に変えているはずです。

【要注意】週2回に増やしても無駄になるパターン

「月謝を倍払っているのに、全然上達していない気がする……」そんな悲劇を避けるために、熱心な親御さんこそ冷静に見極めてほしいポイントがあります。テニスは「量」を増やせば必ず「質」が上がるわけではありません。

以下の3つのケースに当てはまる場合、回数を増やすことが逆効果になり、お金と時間を浪費する結果になりかねません。

① 子供の「内発的動機付け」が追いついていない

最も避けるべきは、親の熱意だけが先行し、子供が「やらされている」と感じている状態です。 テニスの技術習得には、高い集中力が不可欠です。本人が週1回で「お腹いっぱい」なのに無理やり週2回に増やすと、1回あたりのレッスンの密度が薄まります。

集中力の分散: 「今日行けば、三日後にもまたある」という甘えが生じ、一球に対する執着心が消えてしまう。
バーンアウト(燃え尽き)のリスク: 低学年のうちから詰め込みすぎると、最も伸びる高学年や中学生になる前にテニス自体を嫌いになってしまう。 まずは子供自身が「もっと打ちたい!」「あの子に勝ちたいから回数を増やしてほしい」と口にするまで待つのが、長期的な費用対効果を最大化するコツです。

② 身体的な疲労と「オーバーユース」の懸念

ジュニア期、特に10歳〜12歳のゴールデンエイジ前後の体は非常にデリケートです。週2回に増やすことで、身体への負荷は想像以上に蓄積されます。

怪我のリスク: テニス特有の動作(捻転やインパクトの衝撃)が増えることで、ジュニア特有の肘の痛みや膝の故障(オスグッドなど)を招くことがあります。
他の習い事との兼ね合い: 塾や他のスポーツと重なり、睡眠時間やリラックスする時間が削られていないか注意が必要です。疲れが溜まった状態での練習は、フォームを崩す原因にもなります。 「上達」の前提条件は、常に「万全な体調」であることを忘れてはいけません。

③ 「レッスンの受けっぱなし」という思考停止

「スクールにさえ行かせればプロ(コーチ)がなんとかしてくれる」という丸投げの状態では、週2回にしても効果は限定的です。 週2回通うと、練習のサイクルが早くなります。その分、「前回の反省を次に活かす」という振り返りの時間が重要になります。

思考の欠如: 自分がなぜミスをしたのか、コーチに何を教わったのかを考えずにただ打っているだけでは、それは練習ではなく「運動」で終わってしまいます。
親のサポート不足: 未経験でも構いません。「今日は何を習ったの?」と問いかけたり、ノートに一言書かせたりするような、親子のコミュニケーションが伴わないと、技術は定着しません。

結論:回数を増やす前に「今の週1回」の密度を確認する

週2回への増設は強力なブースターになりますが、それはあくまで「ベースが整っていること」が条件です。もし、今の週1回のレッスンで子供がヘトヘトだったり、集中力が切れていたりするなら、回数を増やすのは時期尚早かもしれません。

そんな時は、焦って月謝を増やす前に、「自宅での5分の素振り」や「遊び感覚のボールつき」から始めて、子供の「もっとやりたい!」という飢餓感を煽ってみるのも一つの戦略です。

まとめ:あなたの子供の「未来」への投資

ここまで、ジュニアテニスにおける週1回と週2回レッスンの違いを、脳科学、費用対効果、環境、そして注意点という多角的な視点から分析してきました。テニス未経験の親御さんにとって、これらの情報は「月謝の増額」という目先の判断を超えて、お子さんの成長をどうデザインするかという大きな指針になったはずです。

最後にあらためて、私たちが直面している「選択」の本質を整理し、明日から親としてどのような一歩を踏み出すべきかをまとめます。

「週1回」と「週2回」が描く、異なる未来予想図

まず、どちらの選択が正しい・悪いということはありません。大切なのは、「家庭のスタンスとお子さんの現在地」に合致しているかです。

週1回コースの未来: テニスを「人生を豊かにする習い事の一つ」として位置づける選択です。他の習い事や遊びとのバランスを保ちながら、焦らずゆっくりと運動能力を育みます。この場合、親御さんに求められるのは「上達の遅さにイライラしない」という忍耐です。「楽しんでいるならそれでいい」という広い心で、長く細く続けることで、中学・高校での部活動への橋渡しとなるでしょう。

週2回コースの未来: テニスを「競技」として、あるいは「壁を乗り越える経験」として位置づける選択です。ライバルと競い、自分の限界に挑戦する過程で、技術だけでなく強靭なメンタルを育みます。この場合、上達のスピードは加速し、数年後には「試合に勝つ喜び」を親子で共有できる可能性が高まります。ただし、そこには親の送迎や金銭的負担、そして何より「子供のコンディション管理」という新たな責任が伴います。

テニス未経験の親だからこそできる「最高のサポート」

親がテニス未経験であることは、実は大きなアドバンテージです。なぜなら、技術的な口出しをせずに「環境を整えること」に特化できるからです。

多くの経験者パパ・ママは、ついフォームの細部に口を出してしまい、子供のやる気を削いでしまいがちです。しかし、未経験のあなたは違います。この記事で学んだ「忘却曲線」や「費用対効果」の知識を武器に、論理的かつ戦略的に子供を支えることができます。

「コーチ、最近うちの子は週2回にするタイミングでしょうか?」と相談するのも良いでしょう。あるいは、週2回に増やす前に「家で毎日10分、一緒にボールつきをしてみようか」と提案するのも素晴らしいサポートです。

終わりに:子供の「やる気」には賞味期限がある

子供が「テニスが楽しい!」「もっと上手くなりたい!」と目を輝かせている時期は、親が思うよりも短いかもしれません。その輝きを「月謝が高いから」「送迎が大変だから」という理由だけで曇らせてしまうのは、あまりにももったいないことです。

週2回に増やして本気の世界を味あわせるのか。 週1回+自宅練習や親子練習で、効率的に「できる!」を増やしてあげるのか。

どちらの道を選んでも、「子供が今、テニスを通じて何を得ようとしているのか」を一番近くで見守ってあげてください。親が自分のために環境を整え、一緒に試行錯誤してくれる姿を見て、子供は技術以上に大切な「愛されている自信」を受け取ります。

私も含めあなたの選択が、お子さんにとって最高のテニスライフの幕開けになることを心から願っています。

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