【小学生ジュニアテニス】試合当日のメンタルケア|勝負で強くなる親の関わり方

目次

試合当日は「親のメンタル」から始まる

まず最初に、少し耳の痛い話から始めなければなりません。ジュニアテニスにおいて、子供のパフォーマンスを左右する最大の外的要因は、「親の醸し出す空気感」です。

子供は親の表情、声のトーン、ちょっとした仕草に非常に敏感です。親が「絶対に勝たなければ」とピリピリしていると、その緊張は瞬時に子供に伝染し、身体を硬直させます。私も反省しないといけないのですが、おそらく鬼の形相になっているかも・・・子供にとっては悪循環ですね。

試合当日の親の役割は、コーチではありません。「世界で一番安心できるサポーター(安全基地)」であることです。まずは深呼吸をして、親自身がリラックスすることから一日を始めましょう。

会場入りまでの「静かなる準備」

1. 朝のルーティンは「いつも通り」が最強

試合だからといって、特別な朝食を用意したり、過剰に励ましたりする必要はありません。 「いつも通りの時間に起き、いつも通りの朝食を食べる」。この日常の延長線上に試合があるという感覚が、子供の過度な緊張を防ぎます。

食事のポイント: 消化の良い炭水化物(うどん、おにぎり、餅など)を中心に、試合開始の3時間前には済ませるのが理想です。我が家はいつも通りの朝食を摂ることがほとんどですが、たまに具入りおにぎりを食べることもあります。前日に作っておけば、朝はチンして食べるだけと非常に楽です。

荷物の確認: 親がすべて準備するのではなく、最終確認は子供自身にさせましょう。「道具への責任感」は、コート上での自立心につながります。最初の内は親が準備するのがほとんどですが、徐々に何が必要かも分かってくるので、自分で準備できるように働きかけてみましょう。

2. 移動中の車内は「逃げ場」にする

会場に向かう車の中(あるいは電車)で、戦術の話や「今日の目標」を詰め込むのはNGです。そこは子供にとって、戦場に向かう前の最後の安らぎの空間であるべきです。 試合会場の行く道中は、車の中で子供の好きな音楽を聴いたり、テニスとは関係のないゲームや学校の話をしたりして緊張をほぐし、脳をリラックスさせてましょう。

長男は音楽が大好きなので、好きな音楽を流すと笑顔で歌いノリノリになります。それだけでも、試合のモチベーションにもつながりやる気が出てきます。よくスポーツ選手などイヤホンで音楽を聴いている場面は見たことあるとは思います。個人競技の場合はすべてが自分次第なので、奮い立たせるためにも音楽を聴いています。


身体パフォーマンスを最大化する「ウォーミングアップ」

会場に到着したら、いよいよ身体の準備です。ここでは、親ができる具体的なサポートと、現代テニスで推奨されるアップの方法を紹介します。

1. 動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)の重要性

昔ながらの「アキレス腱を伸ばしてじっとする」ような静的ストレッチは、試合直前には向きません(筋肉が緩みすぎてしまうため)。試合前は、身体を動かしながら関節の可動域を広げる動的ストレッチを促してください。

肩甲骨周り: 腕を大きく回すだけでなく、肩甲骨を寄せて開く動作。
股関節周り: 脚を前後にスイングしたり、ハードルをまたぐような動作。
ジャンプ動作: その場での軽いジャンプやダッシュで心拍数を少し上げます。

2. 親が手伝えるオンコート・アップ

公式練習(3〜5分)の前に、空きスペースや壁打ちでボールを打てるなら、以下の手順で感覚を戻させます。ここでの親の役割は「球出しマシン」に徹することで、ボールの感覚を掴むことを大切にします。
試合当日ですので、アップと言えど子供は緊張しています。余計なアドバイスはせずに行いましょう。

1.ショートラリー(ミニテニス): 最初からベースラインに下がらず、サービスライン付近でネットを挟んでボレーボレーやショートラリーをします。タッチの感覚とフットワーク(小刻みな足踏み)を確認させます。
2.球出し練習: 親が手でボールを出し、子供に打たせます。
・最初は足元へ(スピンをかけて持ち上げる感覚)。
・次に左右へ(動きながら打点に入る感覚)。
3.ロングラリー: 最後にベースラインから。

【重要】ここでのアドバイスは禁止! 「もっと膝を曲げて!」「テイクバックが遅い!」などの技術指導は、この段階では百害あって一利なしです。今さらフォームは直りません。 「いい音してるね」「足動いてるよ」といったポジティブなフィードバックのみを行い、子供に「今日の自分は調子が良いかも」と錯覚させることが、親の高度なテクニックです。上手く本人を乗せることがポイントですね。


勝敗を分ける「メンタル・ウォーミングアップ」

身体が温まっても、心が冷えていたり、逆に燃えすぎて空回りしていては勝てません。ジュニア選手特有のメンタルケアについて解説します。

1. 「緊張」を「ワクワク」に書き換える

「緊張してきた…」と子供が言ったとき、「緊張するな、リラックスしろ」と言うのは逆効果です。脳は否定形を理解しにくいからです。 こう返してあげてください。「ドキドキしてるのは、身体が戦う準備をしてる証拠だよ。エネルギーが満タンになってるんだね」

緊張(不安)と興奮(ワクワク)は、生理的な反応としてはほぼ同じです。ラベルの貼り方を変えるだけで、パフォーマンスは向上します。

変に意識してしまうと余計に緊張してしまいます。特に上手な子と試合をする場合には、負けるのではないかと不安になることが多いと思います。そんな時は、「ミスしてもいいから、思いっきりやっておいで」とだけ声掛けします。

親からの一言があるだけで、子供の不安や緊張は少し消えていくものです。

2. 呼吸法で自律神経を整える

試合直前、子供の顔色が悪い、あるいは落ち着きがない場合は、一緒に呼吸法を行います。 「ボックス・ブリージング」が簡単で効果的です。

1.4秒かけて鼻から吸う。
2.4秒息を止める。
3.4秒かけて口から吐く。
4.4秒息を止める。

これを4回セットで行います。呼吸をゆっくりと行うことで、交感神経と副交感神経のバランスを整え、リラックス効果を促します。また、親も一緒にやることで、子供はより安心感を得られます。

3. 「結果」ではなく「行動」の目標を持たせる

「絶対に勝とう」という目標は、相手の強さにも左右されるため、プレッシャーになります。コントロール可能な行動目標を持たせて送り出しましょう。

・「ガッツポーズを大きくしよう」
・「ミスしてもラケットを見ずに、すぐに次の構えに入ろう」
・「ファーストサーブが入らなくても、セカンドを思い切り振ろう」

これなら、試合の勝敗に関わらず達成感を味わうことができ、メンタルが安定します。


試合中、親はどこで何を見るべきか

1. 観戦場所の選び方

可能であれば、子供の視界に入りすぎない場所、あるいは表情がはっきり見えない程度の距離感が理想です。 子供はミスをするたびに、無意識に親の顔色を伺います。その時、親がため息をついたり、表情が怖かったり、首をかしげたりしているのを見ると、子供のメンタルは崩壊します。

2. 親の「ポーカーフェイス」スキル

試合中は、「修行僧」のような心持ちでいてください。 ナイスショットには拍手(過剰な歓声は不要)。ミスには無反応(決して残念がらない)。 「私はあなたのプレーをただ見守っているだけで、評価・ジャッジはしていないよ」という姿勢を貫くことが、子供にとって最大の精神安定剤になります。

3. インターバル中の接し方(フェンス越し)

基本的には接触できませんが、目が合ったときにどうするか。 「サムズアップ(親指を立てる)」や「うなずく」。これだけで十分です。 言葉で何かを伝えようと必死になる必要はありません。「信頼して見ている」という事実だけで、子供は勇気を取り戻します。


試合終了後、子供の未来を守る「アフターケア」

試合が終わった直後の親の言葉は、子供の記憶に深く刻まれます。ここでの対応が、次の試合へのモチベーションになるか、テニス嫌いになるかの分かれ道です。

1. 負けた時の「第一声」

子供が負けてコートから戻ってきたとき、開口一番に「なんであそこであんなミスをしたの?」と言いたくなる気持ちをぐっと飲み込んでください。 子供自身が一番、自分の不甲斐なさを感じ、傷ついています。

まずは、感情を受け止めることから始めます。 「お疲れ様。悔しかったね」 「最後までよく走っていたね」

技術的な反省会は、感情が落ち着いた数時間後、あるいは翌日で十分です。 「あなたの価値は、試合の勝敗では決まらない」というメッセージを、態度で示してください。

最近は、この第一声がかけれるようになってきて、本人もまた次頑張ろうと思えるようになっています。

2. 勝った時こそ「謙虚さ」と「プロセス」を

勝った時は、結果そのものよりも、そこに至るプロセスを褒めます。 「練習していたサーブが効いていたね」 「逆転されても諦めない姿勢がかっこよかったよ」

結果だけを褒めると、子供は「勝たないと褒めてもらえない(愛されない)」という歪んだ認知を持つ恐れがあります。「努力や姿勢」にフォーカスすることで、健全な自己肯定感が育ちます。

3. 魔法の言葉「I love to watch you play」

アメリカのスポーツ心理学でよく引用される言葉ですが、親が子供にかける最高の言葉はこれに尽きます。

「あなたのプレーを見るのが大好きだよ」
勝っても負けても、不格好でも、あなたがコートに立っているだけで私は幸せだ。そう伝えることで、子供は失敗を恐れずに挑戦できるようになります。これこそが、ジュニアテニスのメンタルヘルスにおける究極のゴールです。


テニスは「人生の縮図」

テニスの試合は、理不尽な判定、天候の変化、自身の不調、孤独な戦いなど、人生で直面するあらゆる困難が凝縮されています。 親ができることは、代わって戦うことでも、リモコンで子供を操作することでもありません。

子供が自力で問題を解決し、乗り越えていく力を信じて、「待つ」ことです。

わが子はまだ、試合ではほとんど勝ったことがありません。しかし、テニスは楽しいと言っており、試合も負けてばっかりですが出たいと言っています。勝ち負けも大切ですが、テニスが好きでいてくれていることに感謝です。

適切なウォーミングアップの知識を提供し、メンタルが安定する環境を整えたら、あとは特等席で子供の成長物語を見届けましょう。 今日の試合が、結果はどうあれ、親子にとって素晴らしい成長の機会になることを願っています。

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